よしもと
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地域の皆さまこんにちは。北海道もお盆前後の一番暑い時期が過ぎ、窓を開けっぱなしで寝ると少し寒さを感じる頃合いになってきました。
今日は普段お出ししているお薬の費用が変わるかもしれない、という話です。

「風邪で受診すると高くなる」は本当か — 実際に計算してみました

市販薬と同じ成分の処方薬、いわゆる「OTC類似薬」について、患者さんの負担を増やす新しい仕組みが2027年3月から始まる見込みです。 ニュースの見出しだけを見ると「風邪で病院にかかると高くつくようになる」と読めてしまいますが、 実際に当院でよく出す処方をもとに計算すると、少し違う姿が見えてきます。 金額を具体的に示しながら整理します。

何が決まったのか

2026年5月に健康保険法等の改正法が成立し、市販薬と成分が同じ処方薬について、 薬剤費の4分の1を「特別の料金」として、保険の外で自己負担する仕組みが作られることになりました。 対象は77成分・約1,100品目、開始は2027年3月の予定です。

負担のしくみ(3割負担の方の場合)

対象になった薬は、薬剤費のうち4分の1が保険給付の対象から外れ、その分を全額自分で払います。 残りの4分の3には、これまでどおりの負担割合がかかります。

棒全体が、その薬の薬剤費(10割)です

窓口でお支払いいただく割合は、薬剤費の30%から47.5%に増えます。 ただしこれはあくまで割合の話で、もとの薬剤費が小さければ増える金額もわずかです。 実際にいくらになるか、次に計算してみます。

当院は院外処方ですので、この特別の料金は調剤薬局の窓口でお支払いいただく形になる見込みです。

対象になる薬・ならない薬

対象は「市販薬と成分・投与経路が同じで、1日の最大量も同じ」という基準で機械的に選ばれています。 この「1日の最大量も同じ」という条件があるため、意外な薬が対象から外れています。

薬(成分)扱い理由
湿布(ロキソプロフェン、ジクロフェナク、フェルビナク、インドメタシン) 対象 市販の湿布と成分・用量が同じ
ヒルドイドなどの保湿剤(ヘパリン類似物質)、尿素 対象 同成分の市販薬がある
ロキソニン錠(ロキソプロフェン) 対象 市販のロキソニンSと1日最大量が同じ
ムコダイン(L-カルボシステイン)などの痰の薬 対象 同成分の市販薬がある
アレルギーの薬(フェキソフェナジン、ロラタジン等)、酸化マグネシウム 対象 同成分の市販薬がある
カロナール(アセトアミノフェン単剤) 対象外 1日の上限量が市販薬と異なるため
アストミン(ジメモルファン)などの咳止め 対象外 同成分の市販薬がない

対象成分の一覧はまだ検討中の段階です。2027年度以降は対象範囲を広げることや、負担割合を引き上げることも検討課題とされています。ここに書いた区分が今後変わる可能性があります。

実際に計算してみます

かぜで受診して5日分の薬をもらった場合

発熱と咳・痰でご来院いただき、検査のうえで次のような処方をした場合です。 このうち特別の料金がかかるのは、現時点の案では痰の薬だけです。

処方扱い5日分の薬剤費
咳止め(アストミン錠10mg 1日6錠)対象外204円
痰の薬(ムコダイン錠500mg 1日3錠)対象162円
解熱鎮痛薬(カロナール錠300 2錠を発熱時 5回分)対象外69円
窓口でのお支払い(3割負担・薬剤料のみ)金額
今までどおりの場合約120円
新しい仕組みが始まった場合約150円
増える金額約30円/1回の処方あたり

薬価は2026年8月時点。薬剤料以外(診察料・検査料・調剤技術料など)は変わりません。

湿布を毎月使っている場合

変形性関節症や腰痛で、湿布を1日1枚・1か月分(28枚)お出ししている場合です。 湿布は対象薬の代表格なので、薬剤費のすべてに特別の料金がかかります。

窓口でのお支払い(3割負担・薬剤料のみ)1か月1年間
今までどおりの場合約153円約1,840円
新しい仕組みが始まった場合約242円約2,900円
増える金額約1,070円/1年あたり

枚数が多い方はさらに増えます。1回に63枚(上限)をお出ししている場合、増える金額は1か月あたり約200円、1年で約2,400円です。 保湿剤や便秘薬、アレルギーの薬など対象の薬をいくつも使っている方は、これが重なります

短期の処方より、毎月続く処方に効いてきます

かぜで5日分の薬をもらった場合

約30

湿布を1年間使い続けた場合

約1,070

影響が大きいのは、湿布・保湿剤・便秘薬・アレルギーの薬などを毎月続けて使っている方です。

「風邪で受診すると高くなるから我慢しよう」という判断は、実際の金額とかみ合っていません。

かぜのように見えて、肺炎や副鼻腔炎、あるいは膠原病や甲状腺の病気の初期症状ということもあります。 数十円の負担を避けるために受診をためらって、診断が遅れるほうがはるかに大きな損失です。 体調が思わしくないときは、これまでどおりご相談ください。

まだ決まっていないこと

報道が先行していますが、2026年8月末時点で確定していない部分がかなりあります。

  • 対象となる成分の最終的な一覧
  • 特別の料金に消費税がかかるかどうか、端数の処理のしかた
  • 「配慮が必要な方」の範囲。こども、がんの患者さん、指定難病の患者さん、低所得の方、入院中の方などは特別の料金を求めない方向で検討されていますが、関節リウマチのような慢性疾患がどこまで含まれるかは未確定です
  • 医師が「この薬を続けて使う必要がある」と判断した場合の取り扱いと、その具体的な手続き

自己判断で薬を変えないでください。 報道を見て、処方薬を勝手に中止したり市販薬に切り替えたりすると、効き目や飲み合わせが変わることがあります。 市販薬は成分が同じでも1回量や配合が違うことが少なくありません。 気になることがあれば、切り替える前に主治医の先生、またはかかりつけの薬剤師の先生にご相談ください。

金額のご相談は調剤薬局へ

実際にいくらになるかは、処方の内容・薬剤の銘柄・負担割合によって一人ひとり違います。 当院は院外処方で、特別の料金をお支払いいただくのも調剤薬局の窓口です。 具体的な金額のご相談は、お薬を受け取る薬局でお尋ねください。 薬剤師の先生のほうが、その場で正確な金額をお答えできます。

診察では、その薬を治療上続ける必要があるかどうかの判断を行います。 負担が気になって続けにくいと感じたときは、そのことも遠慮なくお話しください。

本記事は2026年8月31日時点で公表されている情報(厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会資料、 OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会 中間とりまとめ 等)に基づく一般的な情報提供です。 金額は当院で用いる薬剤の薬価をもとにした概算で、実際の負担額は処方内容・薬剤の銘柄・負担割合・薬価改定により変わります。 また制度の詳細は今後の省令等で変更される可能性があります。個別のご相談は診察の際にお願いします。