こんにちは。院長よしもとです。皆さんが医療機関を受診された際、電子カルテ以外に、タブレットやスマートフォンを操作している医師・看護師を見かけたことはありませんか?単なるメールチェックの事もありますが、実は仕事をしている事がほとんどです。

1. スマートフォンが医療従事者の日常業務にもたらす革命

医療従事者がスマートフォンを使う理由を知るためには、まずその機能性と利便性について理解する必要があります。スマートフォンは単なる通信ツールではなく、膨大な情報に瞬時にアクセスできるポータブルコンピューターであり、医療現場でも大きな役割を果たしています。
たとえば、診察中に患者さんの症状や薬の副作用について疑問が生じた場合、スマートフォンを使って迅速に確認することで、正確な判断を下す時間が短縮されます。この瞬発力は、特に救急医療や迅速な対応が求められる場面で極めて重要です。

2. 専門アプリケーションの活用

スマートフォンは、医療従事者向けに開発された専門アプリを利用できる点でも優れています。以下は、よく利用されるアプリケーションの一例です:

  • 薬剤情報アプリ
    医師や薬剤師は、薬剤の用法用量、副作用、相互作用などの詳細な情報を素早く確認できます。
    例:「MediCalc」や「UpToDate」といったアプリ。使ってます。
  • 診断支援ツール
    診断アルゴリズムやリスク評価を提供するアプリは、患者の症状に基づいた正確な診断をサポートします。
  • 教育用リソース
    解剖学や疾患の進行を解説する3Dモデルを用いたアプリは、患者さんへの説明にも役立ちます。

これらのアプリは、紙媒体や固定型のコンピュータでは得られない利便性を提供し、迅速で的確な医療の提供を可能にしてくれます。

3. 情報共有とチーム医療の推進

スマートフォンは、医療従事者同士の迅速な情報共有を促進します。たとえば、診察後に発見された特異な検査結果を同僚や専門医にすぐ共有できる機能が、チーム医療の効率化に寄与します。これには、以下のような具体例があります:

  • 緊急時の連絡
    患者の容態が急変した際に、スマートフォンで専門チームに通知を送ることができます。
  • セキュアなチャットアプリ
    プライバシー保護を徹底した医療専用メッセージングアプリを使うことで、遠隔地の専門家との意見交換も可能です。
    例:「Join」なんかが有名です。

これにより、物理的な距離を超えた情報共有が実現し、治療の質が向上します。

4. 電子カルテとの連携

近年、多くの医療機関では電子カルテ(EMR:Electronic Medical Record)システムが導入されています。スマートフォンは、このシステムに接続するための便利なデバイスとして機能します。たとえば、医師が病室を回診中に患者の過去の診療記録をその場で確認できるため、治療計画の立案がスムーズになります。

さらに、医療従事者が外出先やカンファレンス中でもカルテ情報を確認できるようになり、柔軟な対応が可能となります。

5. 時間の効率化

医療従事者はこなさなければならないタスクが多く、1日のスケジュールが非常にタイトです。スマートフォンを使うことで、以下のように時間を効率的に管理できます:

  • スケジュール管理アプリ
    診察や手術の予定を一元管理することで、無駄な時間を削減。
  • リマインダー機能
    薬の投与時間や患者のフォローアップが必要な時期を自動的に通知。

これにより、業務の効率が向上し、患者さん一人ひとりにより多くの時間を割くことができます。

6. 患者さんの疑念と説明責任

スマートフォンの利用が医療従事者の効率化や正確性を高める一方で、患者さんが不安を抱く要因にもなっています。「この医師は何を見ているのか?」という疑念を解消するためには、透明性のある対応が必要です。
たとえば、「このアプリで薬の情報を確認しています」と一言添え、患者さんの不安を少しでも解消できればと思います。

正確性を期すため、確認したい薬剤の用量や飲み方、薬価(お薬の値段)などがある場合には患者さんに一言断ってから調べるように心掛けています。

まとめ

スマートフォンは、皆さんの生活にとっても、また現代の医療従事者にとって欠かせないツールです。薬剤情報の検索から電子カルテへのアクセス、患者さんとのコミュニケーション強化まで、多岐にわたる利点があります。しかし、その利便性が誤解を生むリスクもあるため、患者さんへの適切な説明と信頼関係の構築が不可欠であることを肝に銘じたいと思います。