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こんにちは院長よしもとです。皆さん健診で「少し血圧が高いですね」なんて言われたことはないでしょうか。
日本高血圧学会による高血圧症ガイドライン2019では、血圧の値に関して、結構細かく分類がなされているんです。
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家庭血圧 (ご自宅でリラックスして測定した値)で上の血圧(収縮期血圧)が115mmHgを超えたら「正常高値血圧」という、正常なんだけども、やや高めですよっていう一般の方からすると少しヘンテコな名称が付けられています。
正常高値血圧や高値血圧の方にまず、一番お勧めしたいのが生活習慣の改善、塩分摂取量の制限ですが、次のステップ、今日はお薬の力を借りる際のメンバー紹介をしたいと思います。
主な降圧薬の種類
1.カルシウム拮抗薬
血管を広げることで血圧を下げる薬です。年齢や性別に関わらず幅広い患者に効果があり、第一選択薬として使用する事も多い薬です。副作用として顔のほてりや頭重感がみられることがあります。
2.アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
血管を収縮させるホルモンの作用を抑えることで血圧を下げます。腎臓を保護する効果があり、特に腎疾患を伴う患者さんに適しています。妊婦さんには使用できません。
3.アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)
血圧を上げるホルモンの生成を阻害します。腎保護作用もありますが、副作用として咳が出ることがあります。継続して内服できる方にとっては比較的安価でエビデンスもある良い薬です。
4.利尿薬
体内の余分な水分と塩分を排出することで血圧を下げます。塩分摂取量が多めの方に少量使用することで非常に良い効果が得られる事もあります。一般的に塩分摂取量が多めな日本人に適していると考えられています。
5.ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
体内の水分や電解質のバランスを調整しているステロイドホルモンの作用を抑えます。
6.β遮断薬
心拍数を減らし、心臓の負担を軽くすることで血圧を下げます。心疾患の既往がある若い患者に使われることが多いです。
7.α遮断薬
血管を拡張させて血圧を下げます。特に起床後の血圧が高い「早朝高血圧」に使用されることがあります。
8.中枢性交感神経抑制薬
神経の働きを抑え、血圧を下げます。他の薬で効果が得られない場合や妊婦の高血圧治療に用いられることがあります。
まとめ
以上、高血圧の薬の種類について簡単にご説明しました。
いま挙げた8種類の薬剤のうち、1種類の薬だけで良好なコントロールが得られれば良いのですが、家庭血圧が<125/<75mmHgであった患者さんの割合が高血圧専門クリニックでは73.3%、非高血圧専門クリニックでは20.8%、また3種類以上の降圧薬の処方を受けた患者さんは高血圧専門クリニックでは41.9%であったのに対し、非専門クリニックでは15.2%であったなんて報告もあります。
詳しくは→ https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39463432/
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薬は飲めば飲むほど良いとは言えませんが、これら色んな種類の薬剤を患者さんの生活スタイルや背景疾患を考慮しながら組み合わせていくのが腕のみせどころかも知れません。