
皆さんこんにちは。ゴールデンウィークも気付けば最終日ですが、いかがお過ごしでしょうか。
私がずぼらなだけかも知れませんが笑、歳を経るにつれ、時間が過ぎるのがとてもはやく感じます。
調べてみると、一般に『ジャネの法則』として知られているようです。
私は後回しにしていた書類仕事etc, etc、たまに自転車を漕いで旭岳ロープウェイまで、カロリーを燃やしにいくなどしていました。

もし見かけたら是非お声掛け下さい。
さて本題です。
去る4月24日〜27日、第69回日本リウマチ学会総会・学術集会およびアニュアルコースレクチャーが開催されました。この日本リウマチ学会総会は、当学会が年に一度開催する学術的な大会です。
日本リウマチ学会総会における最新の知見・個別化医療(プレシジョンメディシン)
日本リウマチ学会総会では、リウマチや膠原病、自己免疫疾患などに関わる最新の研究成果が発表されます。 今回参加して一番印象に残ったのはリウマチ性疾患を抱える患者さんへの個別化医療への展望でした。
個別化医療とは、一人ひとりの体質や病気の特徴、生活スタイルに合わせて、最も適した治療を行う医療のことです。例えば、同じ病気でも、人によって効く薬や副作用の出方が違うことがあります。

同じ血圧の薬(降圧薬)・用量でも、効果の出やすい方、比較的効果が出にくい方がおられ、実臨床でもよく経験します。
個別化医療では、遺伝子情報や検査結果、これまでの病歴などをもとに、その人に合ったオーダーメイドの治療法を選びます。これにより、効果が高く、副作用の少ない治療が期待できるようになります。今までの「多くの人に効く標準的な治療」から、「その人のための最適な治療」へと医療が進化しているのです。
現在のがん治療について
私はがん診療の専門家ではないのですが、個別化医療を説明するにあたって比較的解りやすい例として、がん診療についてお話させてください。
がん治療のオーダーメイド、つまり個別化医療(プレシジョンメディシン)は、患者さんの遺伝子情報や腫瘍の特性に基づいて、最適な治療法を選択・実施するものです。現在、特にがんでの遺伝子パネル検査を基に、効果が期待できる薬剤(分子標的薬)を用いる治療が主流です。
『オプシーボ』という薬剤名を聞いたことはありませんでしょうか? がんの治療薬「オプジーボ」は、個別化医療の代表的な例として有名です。
オプジーボは「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれる新しいタイプの薬で、がん細胞にブレーキをかけられて働けなくなった免疫細胞を再び活性化し、自分の力でがんを攻撃できるようにします。ただし、この薬がよく効く人もいれば、あまり効果が出ない人もいます。
そこで登場するのが個別化医療の考え方です。オプジーボを使う前に、患者さんのがん細胞の特徴(たとえば「PD-L1」というたんぱく質の量)や、遺伝子の状態を詳しく調べることで、「この人にはオプジーボが効果的かもしれない」と予測することができます。
つまり、オプジーボは「誰に効くか」を見極めて使うことで、より安全で効果的な治療を目指す「個別化医療」の実践例なのです。
現在の関節リウマチ治療について
この20数年の間で、リウマチ性疾患の治療は目覚ましい発展を遂げました。また抗体医薬品が関節リウマチ患者さんに活用されることにより得られた知見が、リウマチ性疾患以外への適応が広がるきっかけとなり、免疫学的なアプローチは今やがんやアレルギー疾患、さらには難治性の自己免疫疾患にまで広がりを見せています。
先に述べたように、がん治療においては個別化医療が実践されつつある現在、残念ながら関節リウマチ患者さんへの個別化医療はまだまだ発展途上と言わざるを得ません。
リウマチ性疾患の治療を行うにあたっては、臨床徴候、疾患活動性、合併症の評価、各種抗体検査の結果などに基づいて治療方針を立てて行きます。ある意味個別化医療と呼べなくもありませんが、より「その人のための」「より安全で効果的な治療」を目指す必要性が高い事には違いありません。
今後さらに研究が進み、関節リウマチをはじめとしたリウマチ性疾患にも、より精密で個別化された医療が実現されていくことが期待されます。
このように、日本リウマチ学会総会はリウマチ性疾患の治療・発展において重要な役割を果たしています。

私自身も、日々の診療の中で、患者さん一人ひとりにとって最も適した選択肢を提案できるよう、知識と経験を積み重ねていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。